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新人ドライバーの教育と立ち上げ|初任診断から記録の保存まで

2025年4月の制度改正で、新人ドライバーの受け入れは任意の社内研修から法令上の必須手続きへ変わりました。乗務前の初任診断と特別な指導、安全管理者の選任、業務・事故記録の保存まで、施行日・費用・保存年数を整理し「早期戦力化と事故防止の両立」の段取りにまとめます。

軽貨物ナレッジ編集部公開 2026年7月8日時点の情報
目次
  1. 2025年4月から、新人の立ち上げは「必須手続き」になった
  2. 乗務を始める前にやる2つ — 初任診断と特別な指導
  3. 受け入れ側の体制 — 安全管理者の選任と講習
  4. 記録を残す — 業務記録1年・事故記録3年
  5. 結局どうすればいいか

軽貨物(黒ナンバー)で新しいドライバーを受け入れるとき、2025年(令和7年)4月の制度改正から、やるべきことがはっきり決まりました。以前は「立ち上げの研修は各社の自由」でしたが、今は(1)乗務を始める前の初任診断と特別な指導、(2)営業所ごとの安全管理者の選任、(3)業務記録・事故記録の作成と保存が、法令上の手続きとして事業者に課されています。これは単に負担が増えたというより、新人を安全に、そして早く戦力化するための共通ルールが用意されたということです。最初の段取りを整えておけば、事故を防ぎながら独り立ちまでの期間を短くできます。この記事では、2026-07-08時点の情報をもとに、事業者が新人を受け入れるときに何を・いつ・どの順でやるのかを整理します。費用など変わりうる数字は、確認した時点を明記します。

2025年4月から、新人の立ち上げは「必須手続き」になった

制度の根拠は、令和6年(2024年)5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」です。これに合わせて貨物軽自動車運送事業の安全規制を強化する制度改正が行われ、安全管理者の選任・初任運転者等への指導・業務記録の作成といった事業者向けの主なルールは、令和7年(2025年)4月から順次適用されています。それまで社内の裁量に任されていた新人の立ち上げが、法令で定められた手続きの一部になった、というのが今回の大きな変化です。

改正の背景にあるのは事故の増加です。保有台数1万台当たりでみた事業用軽自動車の死亡・重傷事故の件数は、平成28年から令和4年にかけて約5割増えたと国土交通省が示しています。貨物軽自動車運送事業は、審査期間のない届出制で黒ナンバーを付けられる点で、許可制(審査に3〜4か月)で緑ナンバーの一般貨物自動車運送事業より参入しやすい制度です。参入のしやすさは変わらないまま、走り出したあとの安全対策を底上げするのが2025年4月の改正の狙いだと捉えると、新人教育を「なぜやるのか」がわかりやすくなります。

乗務を始める前にやる2つ — 初任診断と特別な指導

1つ目は初任診断です。新しく採用したドライバーは、運転経験の有無にかかわらず、初めて事業用自動車に乗務する前に、NASVA(自動車事故対策機構)などの「初任診断(運転者適性診断)」を受ける必要があります。これは運転のクセや注意の傾向を客観的に把握して、その後の指導に生かすための診断です。NASVAの場合、手数料は4,800円(税込)、所要時間は約1時間40分(ナスバネットで実施する場合)です(2026-07-08時点)。原則は乗務前ですが、やむを得ない事情があるときは、乗務を始めてから1か月以内の受診が認められています。なお指導・適性診断の対象になるのは、過去に事故を起こした事故惹起運転者・新しく入った初任運転者・高齢運転者の3区分です。

2つ目は特別な指導です。初任運転者には、添乗指導を除いて合計5時間以上の座学が求められます。内容は、貨物自動車運送事業法その他の法令に基づき運転者が守るべき事項と、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項です。あわせて、安全運転の実技である添乗指導は「可能な限り実施する」とされています。座学の5時間は必須、添乗はできる範囲で、と押さえておくとよいでしょう。この特別な指導は、新人が現場に出る前に会社のルールと危険の見分け方を共有できる場でもあり、早期の独り立ちにも直結します。ここで行った指導監督の内容は記録として残し、後述のとおり保存します。

受け入れ側の体制 — 安全管理者の選任と講習

新人を受け入れる前提として、事業者側の体制づくりも必要です。令和7年(2025年)4月1日から、すべての貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、運輸支局などを通じて国土交通大臣へ届け出ることが義務づけられました(バイク便事業者を除く)。安全管理者は、初任診断や特別な指導、記録づくりといった安全の実務が現場できちんと回るように管理する役割を担います。新人教育を担当する立場と重なることも多く、体制の中心になる存在です。

安全管理者に選ぶには、選任日の前2年以内に「貨物軽自動車安全管理者講習」を修了していることなどが要件です(一般貨物自動車運送事業などの運行管理者に選任されている人は、これに代えられます)。NASVAが実施する講習は、講習時間5時間・手数料3,700円で、PCやスマートフォンで受けられるeラーニング方式も認められています(2026-07-08時点)。なお、令和7年(2025年)3月31日以前に経営届出をしていた既存の事業者には猶予があり、安全管理者の選任は令和9年(2027年)3月31日まで(施行から2年間)、初任運転者等への指導・適性診断については施行から3年間の経過措置が設けられています。これから開業する事業者は当初から必要になるため、新規に始める場合と既存で続けている場合とで期限が違う点に注意してください。

記録を残す — 業務記録1年・事故記録3年

新人が走り出したら、日々の記録も義務になります。貨物軽自動車運送事業者は、毎日の業務の開始・終了の地点や、従事した距離などを記した「業務の記録」を作成し、1年間保存しなければなりません(バイク便事業者を除く)。事故が起きた場合は、その概要・原因・再発防止対策などをまとめた「事故の記録」を作成し、3年間保存します。特別な指導など指導監督を実施した内容の記録も、3年間の保存が必要です。保存期間は業務記録が1年、事故記録・指導記録が3年と長さが違うので、取り違えないように分けて管理します。

守らなかった場合について、業界の解説では行政処分の基準案が示されています。例えば、安全管理者を選任していない場合は事業停止30日間、講習を受けていない場合は車両の使用停止10日間(初回違反)、運転者台帳を作成していない場合は使用停止20日間(初回違反)などです。ただしこれは基準案として紹介されているもので、日数や適用の条件は最終的に国土交通省・運輸局の一次情報で確認するのが確実です(2026-07-08時点)。記録は罰則を避けるためだけのものではなく、新人がどこまで指導を受けたかの履歴として、独り立ちの判断や引き継ぎに使える実用的な資料にもなります。

結局どうすればいいか

新人ドライバーの立ち上げは、次の順で段取りすると迷いません。まず受け入れる前に、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任し、講習(NASVAで5時間・手数料3,700円、eラーニング可、2026-07-08時点)を済ませて体制を整えます。採用したら、初めて乗務する前に初任診断(NASVAで4,800円税込・約1時間40分、2026-07-08時点)を受けてもらい、やむを得ない場合でも乗務開始から1か月以内に受診します。並行して、添乗指導を除いて5時間以上の座学(法令で守るべき事項と、安全な運行に必要な運転の事項)を行い、可能な範囲で添乗指導も実施します。走り出したら、業務記録を1年、事故記録と指導監督の記録を3年保存します。既存の事業者は安全管理者の選任が令和9年(2027年)3月末まで、指導・適性診断は施行から3年の猶予がありますが、講習や診断は予約が取りにくくなることもあるため、期限ぎりぎりを狙わず早めに動くのが安全です。費用や行政処分の基準は変わりうるので、最終的な金額・期日はNASVAや国土交通省・運輸局の最新案内で確認してください。この段取りを最初に固めておくことが、事故を防ぎながら新人を早く戦力にする一番の近道です。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

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