貨物軽自動車安全管理者制度|2025年4月義務化の全貌
2025年4月1日から貨物軽自動車運送事業者に義務付けられている「貨物軽自動車安全管理者」制度について解説します。選任要件、必要な講習、届け出、罰則、そして既存事業者向けの猶予期間まで、制度の全貌を網羅的にご紹介します。
目次
近年、宅配便の取扱個数増加と軽自動車による運送需要拡大に伴い、事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数が増加傾向にあります。この状況を受け、安全対策を強化するため、国土交通省は貨物軽自動車運送事業における新たな制度を設けました。
「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)が、2024年5月15日に公布され、2025年4月1日から貨物軽自動車運送事業者に対する様々な規制が強化されています。その中でも特に重要なのが、「貨物軽自動車安全管理者」の選任義務です。
貨物軽自動車安全管理者とは
貨物軽自動車安全管理者とは、事業用貨物軽自動車の運行の安全確保に必要な知識を持ち、安全確保に関する業務を管理する者のことです。この制度は、貨物軽自動車運送事業者が営業所ごとに安全管理者を選任し、運輸支局等を通じて国土交通大臣へ届け出ることを義務付けています。一人で事業を行っている個人事業主も、自身を安全管理者として選任し、届け出る必要があります。ただし、バイク便事業者はこの選任義務の対象外です。
安全管理者の選任要件と講習
貨物軽自動車安全管理者として選任されるには、特定の要件を満たす必要があります。選任される者は、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。
一つ目は、国土交通大臣の登録を受けた講習機関が実施する貨物軽自動車安全管理者講習を、選任の日前2年以内に修了していることです。この講習は、安全管理者としての業務に必要な知識を習得することを目的としており、通常5時間の受講が必要です。手数料は3,700円です。
二つ目は、貨物軽自動車安全管理者講習を修了しており、かつ貨物軽自動車安全管理者定期講習を、選任の日前2年以内に修了していることです。安全管理者として選任された後は、2年ごとに定期講習を受講する義務があります。
三つ目は、当該貨物軽自動車運送事業者が一般貨物自動車運送事業や特定貨物自動車運送事業を経営しており、その運行管理者としてすでに選任されている場合です。
国土交通省に登録されている講習機関としては、独立行政法人自動車事故対策機構、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社、株式会社ロジクエスト、一般社団法人こころーど、学校法人天美学園(近鉄自動車学校)、とちぎ安全教育センター株式会社、株式会社大宮自動車教習所、有限会社伊万里自動車教習所、株式会社アジマ自動車学校、株式会社GakkenLX、株式会社HSC、有限会社新西海自動車学校、一般社団法人全国軽貨物協会、株式会社Trasaburouなどがあります。講習はeラーニング形式と対面形式で実施されています。
義務化されるその他の安全対策
貨物軽自動車安全管理者の選任義務に加えて、2025年4月1日からは以下の安全対策も貨物軽自動車運送事業者に義務付けられています(バイク便事業者は一部除外)。
業務記録の作成・保存の義務化
運転者等の氏名、車両番号、業務の開始・終了及び休憩の日時、業務の開始・終了及び休憩の地点、業務に従事した距離、主な経過地点などを記録し、1年間保存する義務があります。
事故記録の作成・保存の義務化
事故が発生した場合、その概要、原因、再発防止対策などの記録を作成し、3年間保存する義務があります。
国土交通大臣への事故報告の義務化
死傷者を生じた事故など、一定規模以上の事故については、運輸支局等を通じて国土交通大臣への報告が義務付けられています。
特定の運転者への指導・監督及び適性診断の義務化
事故を起こした運転者、初任運転者、高齢運転者などの特定の運転者に対し、特別な指導と適性診断の受診を義務付け、その内容を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成し、営業所に備え置く必要があります。
猶予期間と届出について
2025年4月1日から施行されている制度ですが、既存の貨物軽自動車運送事業者には以下の猶予期間が設けられています。
貨物軽自動車安全管理者の選任については、2025年3月31日までに事業の届出を行った既存事業者は、2027年3月までに選任する必要があります。2025年4月1日以降に運送事業の経営届出を行う新規事業者は、当該届出後、事業を開始する前までに速やかに選任しなければなりません。
特定の運転者への特別な指導及び適性診断の受診についても、施行後3年の猶予期間があります。
貨物軽自動車安全管理者を選任または変更、解任した場合は、遅滞なく運輸支局に届け出る必要があります。届出には、貨物軽自動車運送事業者の氏名または名称、貨物軽自動車安全管理者の氏名及び生年月日、選任年月日及び講習修了年月日などの項目を記載し、貨物軽自動車安全管理者講習の修了証などの添付が必要です。届出は国土交通省の提供するオンラインサービスを通じて行うことも可能です。
罰則について
「貨物自動車運送事業輸送安全規則等の一部を改正する省令」(令和6年国土交通省令第90号)や「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針等の一部を改正する告示」(令和6年国土交通省告示第1193号)といった法令改正により、義務が強化されています。これらの義務に違反した場合、具体的な罰則が科される可能性がありますが、出典情報には罰則の内容についての詳細な記載はありません。
出典・参考
官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。
- 物流:改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について - 国土交通省(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 物流・自動車:貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について - 国土交通省(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 物流・自動車:登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧 - 国土交通省(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 物流・自動車:2025年4月から軽貨物事業者の安全対策に係る規制が強化されます! - 国土交通省(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 報道発表資料:貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正を行いました - 国土交通省(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 貨物軽自動車安全管理者講習/独立行政法人自動車事故対策機構 ナスバ(交通事故)(独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ))2026年9月10日 確認
- 貨物軽自動車安全管理者について - 中国運輸局(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 貨物軽自動車運送事業における安全対策の強化について - 近畿運輸局(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 貨物軽自動車安全管理者について - 九州運輸局(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 貨物軽自動車安全管理者について - 四国運輸局(国土交通省)2026年9月10日 確認
- 【軽貨物の安全対策新制度】安全管理者の選任や講習が義務化!その背景と概要、罰則について詳しく解説 | コラム一覧|配送代行のロジクエスト2026年9月10日 確認
- 【解説】軽貨物の安全管理者選任はいつから義務化?罰則は?|トラック、バス、タクシードライバー教育のクラウド型eラーニング【グッドラーニング!】2026年9月10日 確認
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